約束

 キーッ、 キキーッ ...

「理樹っ!」

同時に僕は衝撃を感じた 

 

 

-------------約束--------------

 

気がつくと僕はベッドの上で寝ていた

いつもとは違うベッド 目の前には白い天井が広がっている

「ここは・・・どこ・・・・?」

「気がついたか、理樹」

「恭介!? ここは・・・」

「ここは病院だ、お前は車にはねられたんだ」

「車に・・・?」

あの時 久しぶりの鈴とのデートその帰り道

蘇る車のブレーキ音 

「り、鈴は!? 鈴は無事なの!?」

「落ち着け 理樹 落ち着くんだ」

「落ち着いていられるわけないじゃないか!」

鈴は僕の隣を歩いていた 僕が車にはねられたのなら鈴も無事ではないだろう

「分かった・・・ 今から話すことは事実だ 頼むから落ち着いて聞いてくれ」

「分かったよ・・・恭介」

「まずお前は事故にあってから丸一日眠っていた」

 「さっきはお前は車に撥ねられたといったがそれは正確には違う」

その言葉を聞いて自分の怪我が軽すぎることに気づく

頭には包帯がされているが他には特に目立った傷がない

車にはねられたのならこんなものではすまないだろう

「お前は鈴に助けられた 鈴がお前を突き飛ばしたおかげでお前は頭を打っただけだ」

「鈴が・・・」

「鈴は今集中治療室にいる」

「そ、そんな・・・じゃぁ鈴は僕を助けて車にはねられたの・・・!?」

「そうだ、鈴は重傷だった すぐに病院に運ばれて手術を受けた 手術はなんとか成功した」

「良かった・・・」

「理樹、ここから言うことは・・・何度も言うが落ち着いて聞いてくれ」

「手術は成功したんだよね? 鈴は生きてるんだよね!?」

「あぁ 鈴は生きている だがな・・・鈴は頭にかなりの怪我をしててな

 意識がまだ戻らないんだ・・・・・・・・・ 医者には意識が戻らないかもしれないと言われた・・・」

「そ、そんな・・・」

視界が黒く染まっていく

どうして鈴が・・・ 修学旅行での事故を一緒に乗り越えて軌跡を起こした

一緒に生きていこうと約束した 僕が守ると誓った これからは今まで以上の幸せで楽しい毎日が続くと思ってたのに・・

「鈴・・・」

そこで僕の意識は途絶えた

 

 

 

----------------Side Rin---------------------

目が覚めると何故か目の前にあたしがいた

何本もの管のようなものが体につけられている

ここはどこなんだろう 見たこともない部屋だ

「いったいあたしはどうしてしまったんだ?」

ふと外をみるとそこに見知った顔があった

「きょーすけ!」

「おい どーした 返事しろ きょーすけ!」

何度呼んでも気がつかない

「どうしたんだ あたしを無視してるのか?」

きょーすけは医者のようなやつと話している

会話が聞こえてくる

「鈴は・・・・・・ぶ・・・・な・・・・」

よく聞こえない 壁に耳を当ててみる

「ふにゃ!?」

壁を通り抜けてしまった

「あたしは壁抜けができるようになったのか・・・!?」

目の前にはきょーすけがいた

「おい、きょーすけ 無視するな!」

あいかわらずきょーすけは何も反応しない

「おい いい加減にしろ ふかーっ!」

あたしは渾身の上段回し蹴りを放つ

角度 スピードともに完璧だった

「ふみゃ!?」

完璧な上段回し蹴りはきょーすけをすり抜けて空を切った

おそるおそるきょーすけを触ってみた

「・・・」

すり抜けてしまう 触れることができない

「思い出した」

そうだあたしは車にはねられたんだった

理樹だけは助けようとして突き飛ばしたんだ

理樹は大丈夫だっただろうか・・・

 

「あたしは死んでしまったのか・・・?」

その疑問が頭を過ぎる

さっききょーすけと話していた医者のようなやつが戻ってきた

「命に別状はありません ただ頭に強い衝撃を受けています 意識が戻るかどうか・・・」

「植物状態ということですか?」

「はい・・・しかしまだ意識が戻る可能性も残されています」

「そう・・・ですか・・・ ありがとうございます」

そういってきょーすけは帰っていった

「あたしが植物じょうたい・・・」

きょーすけについていこうとしたがどうも自分の体から離れられないらしい

昔きょーすけに聞いたことがある ゆーたいりだつ というやつか

自分の体に重なってみたが戻る気配もない

「どうしよう・・・」

その夜とても不安で寂しかった

 

---------------SIde  Riki--------------------

「本当か!?」

「あぁ今日から鈴の部屋にお見舞いにいけるらしい        意識は戻っていないが・・・」

僕は退院して学校に戻っていた 本当に軽傷だった

当然だが授業に集中することはできない  どうしても空いた鈴の席に目が行ってしまう

それはリトルバスターズ全員に言えることだった

小毬さんやクドは鈴の事を聞いた時 ショックで倒れたらしい

普段涙を見せない 笹瀬川さんや西園さんも泣いていたそうだ

「あまり部屋も広くない上に全員で行くと迷惑がかかるからな 全員で行くのはやめよう」

そう恭介が提案する

「うむ、確かに病院に迷惑をかけるのはやめておいたほうがいいな  2組に分かれていこう」

「じゃぁ俺らは4人でいくか?」

「おう」

「ああ」

真人と謙吾がうなづく

「理樹もいいか?」

「僕は・・・一人でいくよ」

「そうか・・・ 理樹何度も言ったがお前のせいじゃないんだ だからそんな暗い顔をするな」

「分かってるよ・・・ 恭介・・・」

「お前がそんな顔をしてると目を覚ましたとき鈴が心配するぞ?」

「鈴ならすぐ目を覚ますさ 筋肉さんたちもそう言っている」

「理樹くん 辛いときほど笑ってないといけないんだよ お菓子でも食べて元気を出しましょう!」

「ありがとう 謙吾 真人 小毬さん」

「じゃぁもう1組は女性陣でいいか?」

「おーけーです!」

「私もいいよ~」

「わたくしもそれでいいですわ」

「私もそれで大丈夫です」

「私も大丈夫ですヨ」

「恭介氏、悪いが私は1人で行かせてもらえるか?」

「あぁ・・・だが鈴を襲ったりするなよ?」

「はっはっは それは保障できん」

そうして僕達は病院へ向かった

 

--------------------------Side Rin-----------------------------

あれから何日もたった

あたしの体は別の部屋に移されていた

怖い 寂しい 

きょーすけ・・・こまりちゃん・・・・みんな・・・ 理樹っ・・・・

コンコン っとノックの音が聞こえた

「こまりちゃん!? それにみんな・・・」

「鈴ちゃん お見舞いにきたよ~」

「わふー 鈴さんお久しぶりなのです・・」

「やはー 鈴ちゃん」

「お久しぶりです 鈴さん」

「棗さん・・・」

「・・・」

「こまりちゃん!みんな あたしのこと見えないのか・・・?」

みんなは『あたし』の方を見ている

「鈴ちゃん、みんな寂しがってるよ・・・ 私もとってもさみしいよ・・・・」

「私も寂しいのです 鈴さんがいないのはとっても寂しいのです・・・うぅっ・・・」

「絶対・・・泣かないって・・・笑ってるって決めてたのに・・・ ごめんね 鈴ちゃん・・・」

「大丈夫 鈴ちゃんは絶対戻ってくるよ このはるちんが保障する!」

「うん、そうだね はるちゃん」

「棗鈴!」

さささ・・・

「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・みですわ!」

「ふぇ? さーちゃん どうしたの?」

「いえ、何故か名前を間違えられたような気がして・・・・」

こいつ聞こえてるのか? おい ささみ 聞こえてるなら何か言え

・・・

聞こえてないのか、なんで名前間違えたの分かったんだ くちゃくちゃだな・・・

「それはそうと 棗鈴! いつまで寝てるんですの? 早く戻ってきなさい 勝ち逃げなんて絶対許しませんわ!」

「わふー 喧嘩はダメなのです」

「だいじょーぶ 喧嘩じゃないよ ね?さーちゃん」

ささみも泣いていた

「さーちゃんも寂しいんだよね」

「うぅっ・・・・」

「鈴さん みんな待ってますからね」

「そーですよ はるちんも鈴ちゃんがいないとどーも調子でないんですよ やはは・・・」

 

 

「そろそろ時間ですかネ?」

「うん そうだね~」

「それじゃぁ鈴ちゃん また来るよ~」

そういってみんなは行ってしまった

こまりちゃん・・・・くど・・・はるか・・・ささみ・・・みお・・・・ みんなごめん 

絶対戻るからな・・・

 

 

 

 

しばらくしてノックが聞こえた

「くるがやっ」

「やあ鈴君久しぶりだな」

くるがやも『あたし』の方を見ている 

「うむ、よく眠っているな 思わず襲いたくなってしまうよ」

「や、やめろ くるがやっ ふかーっ」

あたしの攻撃はくるがやを通り抜けてしまう

くるがやは毛布を掛けなおしてくれただけだった

「眠っている鈴君もかわいいが やはり早く起きてもらわないとな 鈴君がいないのはとっても寂しいよ・・・」

 

「寂しいか・・・ ふっ 以前の私じゃ考えられないな・・」

「昔は自分には感情がないと思っていたが・・・そんなことは無かったな それに気づくことができたのも君達のおかげだろう」

「どうやら私も立派な人間のようだ・・・・」

くるがやは泣いていた

あの強くて、いつでも笑っていたくるがやが・・・・ 泣いていた

「くるがや・・・」

「まさかおねーさんが涙を流す日がこようとはな・・・」

「鈴君君の責任だぞ? 責任を取って早く目を覚まして私のおもちゃになるといい」

 

 

 

「また来るぞ・・・ 鈴君」

 

 

 

 

きょーすけ 真人 謙吾・・・

3人が入れ違いで入ってきた

「「おう鈴」」

「久しぶりだな」

こいつらにもあたしは見えないらしい

「本当によく寝ているな」

「あぁ こっちの気も知らないでぐっすり眠ってやがる」

「俺なんて何日も眠れなかったんだぜ・・・」

「俺が近くにいれば・・・俺の筋肉さんで助けられたってのによぉ・・・」

「そんなことを言うな真人 俺だって同じ気持ちだ・・・」

真人・・・謙吾・・・

「そういえば鈴には話してなかったな 理樹はお前のおかげで無事だ 殆ど怪我もしてないぞ」

「本当か!? きょーすけ」

理樹は無事・・・・ 良かった・・・

こんな状況なのに・・・ 理樹もいなかったら・・・

理樹がいるから今あたしはがんばれているんだ

こんなくちゃくちゃな状況でも理樹がいるからがんばれるんだ

「あとお前のネコ達のことも心配するな 俺達が責任を持って世話してるからな」

「でも流石に俺の筋肉さんでもあの数の猫はきついからな・・・ 早く戻ってきてくれよ・・・」

「そうだぞ 鈴 みんなのためにもな・・・」

「ほら謙吾もなんか言ってやれ」

「謙吾・・・ どうした?」

謙吾はおもむろにジャンパーを脱ぎ始めた

「鈴、お前に俺のこの魂のリトルバスターズジャンバーを預けておく だから絶対に・・・ 自分で返しに来い!」

謙吾・・・

「さ、流石ロマンティック大統領だぜ・・・」

「茶化すな 俺は本気だ」

「あぁ お前のその気持ちよく分かってるさ・・・」

 

 

「そろそろ行くか・・・」

「「あぁ」」

「「また来るぜ 鈴」」

 

また入れ違いで誰かが入ってきた

あれは・・・

 

「理樹っ!」

「鈴・・・・」

「理樹っ あたしのことが見えないのか? お前でも見えないのか?」

理樹は『あたし』の方を見ている

 

分かっていたのに 誰もあたしのことは見えないって分かっているのに・・・

理樹っ・・・理樹っ・・・・理樹っ・・・・・

あたしに気づいてくれ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい泣いただろう

いつの間にか涙は止まっていた

理樹は『あたし』をずっと見ているだけだった

 

 

 

 

「鈴・・・」

「僕を助けてくれてありがとう」

「あの時僕は鈴を守って生きるって約束したのに・・・・ 逆になっちゃったね・・・」

「やっぱり・・・僕は・・・弱いままだ・・・」

違うぞ 違うぞ理樹

理樹は弱くない 弱くなんかない あたしなんかよりずっと強いんだ

そのことを伝えたいのに・・・・ 伝えたいのに・・・

「理樹っ」

伝わらない 伝わらない 

「理樹っ 理樹っ」

何度叫んでも どれだけ大声で言っても

伝えることができない

理樹・・・理樹・・・  うぅっ・・・

気持ちが伝えられない

大好きな人に届かない

 

 

「でもね 鈴」

「1つ目の約束は守れなかったけど・・・ もう1つの約束は絶対に守るよ」

「僕は・・・鈴とずっと一緒に生きていく ずっとそばにいる」

「僕なんかじゃ安心できないかもしれないけど ずっと待ってるよ」

「だからいつでも戻ってきてね、 鈴」

理樹・・・・    

 理樹は笑っていた

無理に笑っているように見える

あたしもこまりちゃんに言われたんだったな・・・

どんなに辛くても最後は笑っていようって・・・・

「それじゃぁまたくるよ  り・・・・うっ・・・」

「理樹っ!?」

「うっ・・・・・・・・」

ナルコレプシーだろうか 理樹が倒れる

いや違う 理樹はナルコレプシーを克服したはずだ・・・

それじゃぁ・・・

「理樹っ 理樹! 大丈夫か しっかりしろ  理樹っ」

「り・・・・ん・・・?」

 

------------------Side  Riki-----------------------

鈴は眠っている 

意識が戻らないかもしれないと言われたとは信じられないくらいいつもと同じ寝顔だった

僕は鈴に謝りたかった

僕は結局鈴を守れなかった 守るどころか逆に守られた

僕は弱い・・・

なんて弱いんだろう

鈴がいないと心まで弱くなる

鈴の顔を見ていると今にも泣きそうだ

でも・・・僕は泣かない

どんなに辛くても最後には笑っていよう

鈴に心配を掛けないためにも・・・

 

 

 

その時頭に激痛が走った

思わず倒れてしまった

ナルコレプシーとは違う痛み

痛みで意識が途切れてしまいそうなとき

確かに僕は聞いた

「・・・・・き・・・」

「理樹っ」

り・・・ん・・・?

そこで僕の意識は途絶えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと白い天井が広がっていた

あぁあの時もこんな感じだったな・・・

「気がついたか 理樹」

そうそう同じことを言われたっけ

「うん、僕倒れちゃったんだね きょうす・・・け・・?」

「誰かきょーすけだ あたしは馬鹿兄貴じゃないぞ」

頭の中が真っ白になる

目の前には・・・・鈴がいた

「り、鈴?」

チリン

鈴の音が鳴る

「行きなり倒れたからな びっくりしたぞ」

「り、鈴 目が覚めたの?・・・本当に・・・?」」

「うみゅ 大丈夫だ だから泣くな」

「鈴・・・本当に・・良かった・・・・」

「本当に心配したんだよ・・・」

「あたしの方が心配したぞ!? 理樹が倒れた時は泣きそうだった」

「やっぱりあのときの声は鈴だったんだね」

「うみゅ、誰も気づいてくれなかった でも理樹はやっぱり気づいてくれるんだな」

嬉しそうに鈴が笑う

「あの時おきてたの?」

「いや ゆーたいりだつしてた」

「ゆーたいりだつって幽体離脱?」

チリン 

鈴が頷く

「あたしはな・・・」

鈴は今まであったことを話してくれた

「もう二度としたくないな」

「大変だったね・・・ でもどうして急に戻れたの?」

「あの時は理樹を助けるのに必死だったからな よーわからん」

「そっか、でも本当にありがとう 鈴」

「うみゅ」

「もう鈴にはどこにも行って欲しくないよ・・・」

「あたしはどこにも行かないぞ ずっと理樹と一緒だ」

少し顔を赤らめながら鈴が言う

「それとな理樹」

「どうしたの?鈴」

「理樹は弱くないぞ、いやもうくちゃくちゃ強い」

「本当に聞こえてたんだね・・・それに僕は弱いよ  鈴に守られてばっかり・・・」

「違うぞ 理樹がいたからあたしも強くなれた 理樹がいたから戻ってこれた」

「理樹はあたしを何度も助けてくれた あたしの手を引いてくれた それはとっても強いことだと思うぞ」

「・・・ありがとう ・・・鈴・・・」

「なぁ理樹、あのときの言葉もう1回いってくれないか?」

「うん、いいよ・・・鈴」

「鈴は僕が守る 鈴とずっと一緒に生きていくよ」

 

 

 

そう・・・それはあの日の約束

僕達二人の大切な約束

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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処女作です いろいろグダグダですみません

小毬は苦手です・・・

 

感想 指摘、リク等はブログのコメントでお願いします

感想をもらえるとやる気がでる気がします

 

 

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